SOCIAL DISTANCING

各国政府が他の人との接触・接近を控えるよう呼び掛けています。「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)」と呼ばれる考え方について解説します。

Q&A

Q. どうすれば良いの?

A. 2m距離を取るだけです。

各国では自宅以外の場所に出向く際には、家族以外の人と2m以上離れて安全な距離を保つようにすることが推奨されています。この距離を確保することは、ウイルスにさらされることを避け、国や世界全体への感染拡大を遅らせるための最良の手段の一つです。

コロナウイルスは感染者が咳をしたり、くしゃみをしたり、話をしたりすると、口や鼻から飛沫が空中に飛び出し、近くにいる人の口や鼻に届くことで感染が広がります。また、飛沫は肺に吸い込まれることもあります。最近の研究では、無自覚感染者も感染拡大に関連している可能性が高いことが分かっています。

したがって、他の人から2mの距離を取ることは、自分だけでなく他の人を守ることにもつながるのです。

ソーシャル・ディスタンスを確保するためのヒント


  • 住んでいる場所では、それぞれの自治体の指導に従いましょう。

  • 食料品店や薬局で食品や薬の買い物をする必要がある場合は、他の人から少なくとも2mの距離を取りましょう。

  • 可能であれば、薬の通販を利用しましょう。

  • 食料品の宅配サービスを検討しましょう。

  • 食料品店など公共の場に出かけなければならない場合を含め、他人の周りにいるときは、布製のフェイスカバーで口と鼻を覆いましょう。

  • フェイスカバーをつけていても、自分と他人との間に少なくとも2mの距離を取りましょう。

  • 友人の家、公園、レストラン、お店、その他の場所など、プライベートな場所や公共の場での大小の集まりは避けましょう。このアドバイスは、10代の若者や若い成人を含む、あらゆる年齢の人に適用されます。子どもたちは、学校が休みの間は、個人的な遊び相手を持つべきではありません。社会的なつながりを維持しながら社会的な距離を保つために、学校が休みの間、子どもたちを健康に保つためのヒントを学びましょう。

  • 可能であれば、自宅で仕事をしましょう。

  • 可能であれば、公共交通機関、ライドシェアリング、タクシーなどの利用は避けましょう。

  • 学生や保護者の方は、デジタル学習や遠隔学習の選択肢について学校に相談してみましょう。


(出典:CDC「Social Distancing, Quarantine, and Isolation

参考映像

https://www.youtube.com/watch?v=9Mkb4TMT_Cc

点状に見えるのが飛沫、近くに霧状に見えるのがエアロゾルです。エアロゾルも水滴であることは、飛沫と変わりません。ただ大きさが小さいだけです。

この映像は氷点下で撮影しているので呼気中の水蒸気がエアロゾルとして凝結したのでしょう。最初から水蒸気として吐き出されたものであれば蒸留水と同じなのでウイルスは入っていないと考えられます。水蒸気は水分子ですからウイルスも乗ることはできません。

ただし水蒸気とは別に小さな飛沫も混ざっている筈ですから、そちらにはウイルスが入っている可能性があります。

https://www.youtube.com/watch?v=7-P7Z560ZJU

こちらの映像ではなかなか落下しない小さな飛沫が見えます。これらは時間と共に水分が徐発し、遠方でエアロゾルとして空中を舞います。もちろんウイルスが入っている可能性はあります。

エアロゾル中のウイルスが感染するかは議論が分かれています。おそらく感染はするでしょうが新型コロナに関しては発病する可能性は低いのではないかというのが多数説です。

エアロゾルは気流に流されるのに対し、大きな飛沫は弾道飛翔します。理論上45度上方に吐き出された飛沫が一番遠方に飛翔しますが、水平方向に噴出してもかなり噴出角の幅があります。大きな飛沫ほど放物線を維持し、小さなものは空気抵抗により減速して、より下向きに経路を変え近くに落下します。

マスク着用の映像がありますが、弾道飛翔する大きな飛沫はマスクの繊維に捕捉されたのでしょう。エアロゾルもある筈ですが、気流に流されやすいのでマスクにより空気の流れとともに経路が曲げられていると考えられます。

(向井)

どんな効果が?

ポスターの画像がソーシャル・ディスタンスの有無で感染がどのように変化するかのイメージです。

左はソーシャル・ディスタンスを実行しない場合。1人の感染者が5日後に2.5人に感染させ、30日後には406人に感染させています。

一方、右はソーシャル・ディスタンスを実行した場合。感染率が半減すると仮定した場合、1人の感染者は5日後に1.25人に感染させ、30日後でもわずか15人にしか感染させていません。


(画像出典:BBC「Coronavirus: What are the current restrictions and why are they needed?」)

ソーシャル・ディスタンス(social distancing)」の基本的な考え方についてBBCのローラ・フォスター健康担当記者が動画で説明しています。(リンク)(出典:BBC「『社会的距離戦略とはどういうこと? ウイルス感染対策」)

「社会的距離(social distancing)」から

「物理的距離(physical distancing)」へ

WHOではこれまでの「社会的距離(social distancing)」から「物理的距離(physical distancing)」へと使い分けを行っています。


これは愛する人や家族との関係を社会的に断たなければならないという意味ではない。我々があえて物理的距離と言い換えているのは、人と人とのつながりは引き続き保ってほしいと思うからだ」とのこと。(出典:WHO  PDFデータより)


コロナウイルスの影響で殺伐として疲れが見え始めているからこそ、人々の心理的な繋がりが重要になるのかもしれません。


互いに距離を取りながら、踊る、歌う、遊ぶ。コロナに怯えるだけではなく、きちんと向き合って安全を確保しながらも楽しむことはできますね。Instagramはとあるおばあちゃんの95歳の誕生日を祝う家族の動画。ハグはできなくても愛は伝わると、おばあちゃんの笑顔が物語っています

行政的なアプローチによるソーシャル・ディスタンスの確保

ミネアポリス - ミネアポリス公園・レクリエーション委員会は、ソーシャル・ディスタンスを確保するために、ウェストリバーパークウェイとメインストリートSEの一部を閉鎖すると発表しました。


例えば日本では上野恩賜公園で花見ができないよう桜の木に近づけないよう張り紙等で対応をしました。しかし、花を見に来る人を止めたわけではないので、かえって狭い通路に人が密集していました。フィジカル・ディスタンス(物理的距離)の視点からすると、これは本末転倒であり、「花見をしないこと」というメッセージが優先され、最も大切な「人と人が2mの距離を取ること」というメッセージが伝わっていませんでした。

CONTRIBUTEREditor : Tetsuya AndoIllustration : Kacho,Shingo HoshinoDesign : Eisuke Tachikawa,Nozomi Aoyama,Koki Ueda